2023年1月に、尾鷲市民文化会館(せぎやまホール)の指定管理者が公募されました。 |
おかげさまで、従来どおり財団法人尾鷲文化振興会が指定管理者になることとなりました。 |
これにより、2023年4月からの3年間公益財団法人尾鷲文化振興会が尾鷲市民文化会館の管理・運営をすることとなりました。 |
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そこで、指定管理者制度や公益財団法人尾鷲文化振興会について少し説明させていただきます。 |
市民の皆様の中には、せぎやまホールで働いている職員はせぎやまホールの職員だと思っている方も多いと思います。しかし、正確にはせぎやまホールを管理・運営している公益財団法人尾鷲文化振興会の職員なのです。 |
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尾鷲文化振興会は財団ですので理事会があります。理事会は、文化芸術に携わる方や有識者の方々から成ります。組織的には、理事会の下に事務局があり、その事務局が尾鷲市民文化会館で働いている職員たちということになります。 |
そもそも「せぎやまホール」は市が所有する建物です。その市の建物であるせぎやまホールを「誰か管理・運営してくれませんか?」というのが指定管理者公募です。市の建物で変な催しなどできませんから、指定管理者公募に当たっては、様々な条件があります。 |
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今回はその条件をクリアしますと言う書類と、プレゼンテーションにより決定されました。 |
条件は、かなり細かい内容まで指定されていましたが、皆様に関係の深いところを上げると「1年間で催し物を何本以上行いなさい」、という内容です。 |
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尾鷲文化振興会では、事務局が催し物を決めているわけではありません。理事会で、企画・決定されます。もちろん、理事会を円滑に行うために事務局はイベント会社からの情報は準備しています。 |
従来は運営委員会という理事会の諮問機関がありましたが、これは各理事たちがイベントを企画する上で、流行を認識したり市民の周りの声を集めることが困難だったため組織されました。しかし、現在の理事たちは、流行を認識し、周りの声を集める点でも長けた方々です。そのため、運営委員会を解散し各理事自らが企画・決定することが出来るようになったわけです。 |
各理事は他に仕事を持った方が大半です。理事会で催し物を企画してくれますが、決して自分たちのやりたい催し物を企画しているわけではありません。理事の方々は、周りの人たちの声を持ち寄り、会議で検討し企画してくれます。当然、理事の方々は文化振興に興味のある方々です。逆にその方々が周りの意見を持ち寄らずに催し物を企画すると、偏った、文化振興に興味のある方にしか理解できない催し物ばかりになってしまいます。 |
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ですから、各理事が周りの声を持ち寄るのは非常に重要なことなのです。 |
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各理事から意見が出ない時は、事務局から企画案を出します。その企画案は、イベント会社から「こういう企画がありますがいかがですか?」という連絡があったものです。 |
理事の方々は忙しい中、年数回集まってくれます。それぞれお仕事を持っている中、理事会を開催してくれていますが、映画は旬のものですので事務局で決めさせていただいています。 |
映画は、映画館の上映が終わってからのものが多く、こちらの希望が必ずかなうとも限りません。必ず集客が見込めると思っている映画でも配給会社が出してくれない場合もあります。更に最近ではデジタル化が進みフィルムの映画がどんどん減ってきています。尾鷲市民文化会館ではフィルムを上映する設備しかなく、デジタルの映画は上映できません。デジタルの映画を上映できるようにするには1000万円以上かかるといわれています。もちろんそのことは尾鷲市にも報告済みで検討していただいていると思います。 |
1年を通して考えると、集客が見込める良い映画がない時期もあります。その中で、みんなでいろいろな意見を出しながら考えています。 |
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以上が、催し物が決まるまでの流れです。 |
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次に、運営の流れですが、まず市から管理料が支払われます。管理料は市民文化会館の光熱水費、定期点検費、文房具費、更には職員のお給料などに当てられます。 |
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では、事業費はどこから出ると思いますか?文化振興会が主催の自主事業なども舞台で演じてくれる方への出演料が必要になります。それが事業費から支払われます。 |
事業費は、その催し物のチケット収入と貸し館収入から捻出されています。貸し館収入とは、例えばどこかの企業がシンポジウムを開催するので、大ホールを貸してくださいと言ってきたとします。尾鷲市民文化会館は、その場所代としてお金を徴収します。その徴収したお金が貸し館収入ということになります。この貸し館収入と先ほど説明したチケット収入が事業費になります。 |
もっとわかりやすく説明すると、事業費はチケット収入と貸し館収入しかないのですから、出演料を払う時、チケットの売り上げでマイナスになった分を貸し館収入で補っていると言うことです。ただし、貸し館収入は年どれだけあるかわかりませんから、それを予想しながらの運営になっていると言うことです。 |
事業費になる収入@ |
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事業費になる収入A |
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事業費として使われる支出@ |
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事業費として使われる支出A |
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事業費の流れをまとめると |
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チケットの売り上げのマイナス分と説明しましたが、マイナスにしなければいいのではと思う方もいると思います。 |
せぎやまホールは、960人入ります。チケット料金が2千円だったとすると、売り上げは満席で192万円になります。文化振興会の方針の中に「低料金で市民に提供」の理念があり、ツアーの一部など特別な場合を除いてチケット料金を5千円や6千円に設定できません。 |
例えば芸能人を呼ぶ時、知名度がある人は出演料が500万円前後します。出演料を500万円払っても、人気がある芸能人とは限りません。知名度があると言うだけです。人気がある芸能人は、出演料が1000万円近くします。 |
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以上のことを考えると、マイナスになるのは覚悟しなければなりません。 |
文化振興会は営利目的の企業とは違います。低料金で市民のみなさんに喜んでいただければマイナスでもいいのですが、事業費がチケット収入からということを考えるとやはりお客様には多く入っていただきたいのです。 |
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そして、皆さんにご理解いただきたいのは貸館収入でタレントさんなどを呼ぶ事業を行っていること。周りから「貸館料金が高い」という声をよく聞きます。安くしてほしいということですね。ところが「もっと有名なタレントを呼んで」という声もよく聞きます。中には「貸館料金は安く、呼ぶタレントは有名どころ」という無茶な要求を突きつける方もいます。 |
説明したように、貸館料金でタレントを呼んでいるために、貸館料金を安くし有名なタレントを呼ぶことは不可能なのです。貸館を増やせばよいという方もいるかもしれませんが、よく考えてみてください。これを読んでいる人の中で、会議室を借りる必要がある方は、どれくらいいますか?大ホールを借りる必要がある方は、どれくらいいますか? |
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話を戻して、最初にお話した指定管理の条件の中にも、この収入を全て使うようにという契約があります。◯◯%以上使わないとペナルティという条件もあります。ですから、全ての催し物を黒字にすることは出来ないのです。黒字になった分は更に催し物をして、プラスマイナス0に近づけなければならないのです。 |
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年度末 |
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ここで、施設を借りていただいている企業や個人の方々にお願いがあります。大ホールで芸能人を呼んだり映画を上映したり、小ホールで物販したりする場合、お問い合わせ先を明確にしてください。また、せぎやまホールにお問い合わせの可能性がある場合は、ホール職員に詳細をご連絡ください。ご連絡が無く、せぎやまホールにお問い合わせがある場合があります。わかっている範囲内ではお答えしていますが、全くわからない場合もあります。その時、お問い合わせをしてくださったお客様に十分なサービスを与えられないことになってしまいます。 |
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せぎやまホールに催し物の詳細の連絡が無かったら |
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せぎやまホールに催し物の詳細の連絡があれば |
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尾鷲文化振興会のこれからの方向 |
尾鷲文化振興会が指定管理者になったといっても、組織的に「市」とは切っても切り離せない関係にあります。しかし、これまでよりは数段自主性を認めてもらえる立場になったと思います。 |
これからは自分たちの発想で、新しい試みの自主事業をどんどんと増やしていきたいと思っています。 |
ただし、3年後また指定管理者が公募されるでしょう。これからの3年間はその時への実績作りとなります。 |
これまでは様々なジャンルの良い事業、つまり教育上望ましいものを中心に考えてきました。あまり集客が見込めないものでも良い事業なら行ってきました。 |
しかし、それでは3年後の指定管理者にはなれません。集客が多いほど市民のニーズに応えた と判断されるからです。集客が全てではありませんが集客のことも考えながら良い事業を行っていきたいと考えています。 |
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